2015年05月19日

韓国歴史ドラマ 武人時代

この十年くらいの間に韓国では歴史ドラマの制作ラッシュとも言えるほどの新作が量産され
もちろんそれらは玉石混交なのだが、この「武人時代」は、文句無く傑作だ。

日本では武臣時代という用語が使われることが多いと思うが
いずれにせよ、よほど世界史、韓国史に詳しいヒトでないと
武人時代と言われても、なんのことだかわかりませーんだろう。
詳しいことはネット検索で調べていただくとして
簡単に言えば、朝鮮半島で1170年から約100年間続いた軍人政権≒幕府の時代だ。
高麗王朝の末期、モンゴルによる属国化までの期間である。
高麗王朝では国王専制の下、文官の専横と腐敗が横行していたが
それに怒った軍人がクーデーターを起こし、軍事政権を樹立したのだ。
同時代の日本における鎌倉幕府成立と比べてみると、なんとなく雰囲気はわかるだろう。

軍事政権のトップは、権力闘争によって目まぐるしく交替し
このドラマで描かれている武人時代の前半だけでも
李義方(イ・ウィバン)
鄭仲夫(チョン・ジュンブ)
慶大升(キョン・デスン)
李義旼(イ・ウィミン)
崔忠献(チェ・チュンホン)
の五人の権力者が登場する。

このドラマのテーマは、この五人の権力者の個性を描くことによって
政治権力の本質とは何かという問題を読み解くという深いものだ。
ホームドラマ化して劣化が著しい近年の大河ドラマでは味わえない面白さがある。
(ちなみに大河以外のNHKの歴史ドラマは、概して悪くないと思いますよ)
高麗史には、彼らの横顔が想像できるほどの詳細な描写は記録されてないので
キャラ作りは、かなりの部分が脚本家、イ・ファンギョンの創作だが
人間社会で起こりうるあらゆる要素が詰め込まれており、説得力がある。

欲を言えば李義旼だけでなく、慶大升や崔忠献もドラマの最初から登場させて
軍幹部の子弟や下級将校の視点から、軍部のクーデターをどう捉えていたのかを描けば
主要人物が退場した後の後半の寂寥感はもう少しなんとかなったかも知れない。

イ・ファンギョンの最高傑作と言われる「太祖王建」を見逃してしまったのが悔やまれる。
posted by 慈覚 at 01:27| その他ゲーム関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする