2015年02月06日

Europe at War @

<コマンドマガジン第37号>Europe at Warをソロプレイしました。

第二次世界大戦の戦略級ゲームとしては、Hearts of Ironシリーズの第四弾が今年発売される予定だが、最近どうもボードウォーゲームの方に関心が移ったので、三十年前にデザインされ十数年前に日本語版で再販された本作をプレイしてみた。PCウォーゲームは利便性や臨場感ではボードゲームを凌駕しているが、やはり戦略的な思考を求めれる場面が少ない気がします。
拙僧は戦術級や作戦級のウォーゲームはほとんどやらないので、WW2のボードゲームも戦略級のものをいろいろ持っていたが、ほとんど手放してしまった。WW2戦略級で、ヘクスマップで戦線の動きを表現するゲームはいささか重過ぎると思う。外交や生産にそれなりのウエイトを置くとすると、<GMT>Barbarossa to Berlin<コマンドマガジン第80号>ヒトラー電撃戦のようなPoint to Pointのマップがちょうどいいのではないか。
唯一手元に残ったのがこのEurope at Warだ。他の多くのWW2戦略級ゲームが作戦級ゲームに生産ルールを追加したようなシステムであるのに対し、本作は作戦級的な要素はバッサリと切り落としたライトなキャラゲーで、本格的にWW2を追体験するには物足りないだろうが、敵国の指導者を討ち取ることが勝利条件という戦国時代のゲームみたいな爽快感がいい。
ゲームは独ソ戦から始まる。そして第5ターンから原爆開発=日本降伏のイベントの可能性があるので1ターンはおよそ1年だろう。したがって1950年近くまで長い戦争が戦われるということになる。なおルール11.5を以下のように変更してプレイした。
・タンクエキスパートはパットン、グデリアン、マンシュタインとする
・ロンメルはアフリカエリアでの戦闘において枢軸側の全てのダイスを+1できる
この変更で多少枢軸側が多少有利になるが、それでも全体のゲームバランスは連合側にかなり有利だろう。

初期配置でドイツ軍はアフリカに歩兵、装甲、将軍を各1ユニット配置できる。イタリア軍を見捨てて最初からアフリカを放棄するのも十分に成立する戦略だが、今回はタンクエキスパート能力を剥奪されたロンメル氏をアフリカに送り込むことにする。枢軸側としては、海上移動のリスクを冒して援軍を送り込むメリットは無いので、いきおい初期戦力と空挺、空軍の支援のみでどこまで粘れるかということになる。なお海軍は温存しても使い道が無くなるので、イタリア海軍が出撃に成功したらイギリスの輸送船団をどんどん攻撃するのが良さそうだ。
主戦場の東部戦線は双方ともに北方、中央、南方の3エリア全てを支配すれば敵本国へ侵入できるという極めてゲーム的な処理になっている。つまりソ連は3エリアのうち一つを確保すれば時間を稼げるのだが、移動は部隊種類別に連合側→枢軸側の順なので、先に移動するソ連はかなり不利である。したがって、どれか1エリアに兵力を集中してドイツ軍を待ち受けるということにならざるをえない。これに対して枢軸側も、ソ連がユニットを集中したエリアに大部分のユニットを送り込むしかないので、必然的に消耗戦が発生する。ソ連には第2ターンにシベリア部隊が増援に現れるので、ダイスロールが平均的であれば最初の数ターンは抗戦可能だ。枢軸側はダイスロールが良くない限り早めのラウンドに退却しつつ、他の2エリアの支配を確保するという展開になろう。

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第3ターン。アフリカエキスパートと化したロンメル氏は強力で、アメリカ軍の力を借りないとイギリス軍単独では駆逐できない。東部戦線は消耗戦で両軍ともかなり戦力が損耗。ソ連はかろうじて本国への侵攻を防いでいるが、あと2ターンが限界か。


posted by 慈覚 at 02:42| コマンドマガジン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月08日

Europe at War A

Europe at Warのマップ上には、ゲームで使われないアメリカ本土を除けば11のエリアが存在するが、これはいささか少な過ぎる。そして独ソ戦は北方、中央、南方の3エリアを支配した側が敵本国に侵攻できるというルールになっているが、これもいささかゲーム的過ぎる。マップの西半分は、エリア毎の戦闘ラウンド数の上限やエリア間の陸上移動可能ユニット数の上限が設定されていて、英米軍にはいくつかの戦略的選択肢があるのだが、独ソ戦はゲーム的なテクニックを除けば、殴り合いにしかなりようがない。とりあえずドイツ本国→北方or中央or南方→ロシア本国をドイツ本国→東方→北方orロシア本土or南方とし、さらにアフリカと南方を中東エリアで接続すれば、より戦略的なマップになるのではないか。

1943年(第3ターン)に3エリアを支配したドイツ軍は、1944年にいよいよモスクワへの攻略に取り掛かる。このゲームではレンドリースが出来ない替わりにソ連の生産力はやや多めに設定されており、またロシア本国に直接英米軍を海上輸送できる。というか、ロシア本国が枢軸軍に攻め込まれた場合、それを最優先とせざるをえない。ロシア本国を救援する反共主義者パットンというシュールな状況も珍しくないだろう。
独ソ戦でソ連が不調の場合、イギリス本国の守りをわざと手薄にして上陸作戦の決断を誘うという駆け引きも考えられる。ゲーム上の選択肢があまり多くないので、情勢が傾き始めるとギャンブル性の高いプレイが必要になってくるのだ。本ソロプレイではロンメルの特殊能力のハウスルールのためアフリカの枢軸軍が1945年まで粘り、イタリアやバルカンに手がつけられない状況が続く。そしてなんとアメリカに先んじてドイツが原爆開発に成功。

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新タンクエキスパート、マンシュタイン氏指揮下の枢軸軍は1944年、ロシア本国へ侵攻。英米はロシア本国への援軍を優先せざるをえない。スターリンをクレムリンから引きずり出していよいよ本土決戦だ。
posted by 慈覚 at 16:40| コマンドマガジン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月11日

Europe at War B

Europe at Warのコンセプトが、ウォーゲーム初心者向けないしは幕間の時間つぶしだとしても、WW2の本質に迫っているのは、ドイツが史実以上に健闘して戦争が長引いた場合、最後は原爆の開発競争(もっとも史実のナチスは原爆の研究を途中で放棄していたらしいが・・・)で決着がつくというシュールな解釈だろう。原爆の開発はイベント表によって決定され、プレイヤーが介在する余地はない。そしてほぼ間違いなく開発力に勝るアメリカが最終的な勝利者となるのだ。Europe at Warは特にゲーム終了までのターン数が定められていないが、アメリカによる核攻撃の開始が、ドイツの勝利の可能性のタイムリミットとなっているのである。このような核兵器の位置づけはシミュレーションとしてはそれなりに説得力があると思われるが、真面目に細かく作戦級レベルのプロセスを描くヘビーな戦略級ゲームではやりにくい処理だろう。ライトなゲームならではの表現だろう。
概してWW2戦略級ゲームは、史実通りの時期にソ連、アメリカが参戦し、ドイツが史実より長く生き延びれるかどうかが勝利条件といったゲームが多い。1945年夏にアメリカが原爆の開発に成功して戦争の様相が大きく変化することを考えれば、ゲームが1945年後半以降まで続かないような処理にはこの難問を回避できるという利点はある。しかし拙僧は、せっかく戦略級ゲームをデザインするならドイツプレイヤーにソ連やアメリカの参戦時期をある程度遅らせるオプションを与える方が面白いと考える。もっともソ連の側からドイツに宣戦する可能性があったのかや、真珠湾攻撃直後にヒトラーがアメリカに宣戦しなかったらアメリカは何時ドイツに宣戦したかを推定するのはかなり難しい。したがってゲームデザインにおいては、デザイナーが1945年夏にドイツが勝利したと考えうる状況を想定し、帰納的にそれが実現可能である程度の外交オプションをドイツプレイヤーに与えるのも一つの方法だろう(ソ連の主要部分を征服したヒトラーに、トルーマンが原爆投下を示唆して無条件降伏を迫ったらどうなったかとかその後の展開を推論するのも思考実験としては面白いが、それはもう別ゲームのテーマだよね)。
<ADG>World in Flamesではアメリカの参戦を参戦トラックを用いて処理している。最近のWW2戦略級ゲームのアメリカ参戦の処理を見てみると<GMT>The Supreme Commanderは史実通りに参戦で論外。<GMT>Unconditional Surrender!は独ソ戦の開始から6ターン後に自動的に参戦。これはルーズベルト政権の中枢が親ソ派によって占められていたという解釈なのかも知れないが、ゲーム的にはアメリカの参戦を遅らせるのは東部戦線に専念するためなのだからうまくないやり方だ。<compass>THE WAR: EUROPE 1939-1945は参戦トラックを有している。史実のようにドイツがむやみに中立国を侵略しまくったりすると参戦タイミングが早まるという処理だ。
ソ連の参戦に関しては、3人ゲームにすることによって解決しようとするゲームがいくつかある。が専任のプレイヤーを置いてしまうと、退屈したソ連プレイヤーが必要以上に参戦に積極的になってしまう可能性が高い。ソ連の参戦に関しても、アメリカ同様の参戦トラック方式が有望なのではないだろうか。
さてEurope at Warはどうか。アメリカの生産力を低めに設定して史実より終戦が長引くようにはデザインされているが、アメリカは第2ターンから自動的に参戦するので、結局はアメリカの生産力に押し切られる結末にしかなりようがないのである。

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本ソロプレイでは枢軸側のイベントのダイスロールが絶好調で、アメリカに先んじて原爆の開発に成功。非常に珍しいケースだ。アフリカではようやく枢軸軍が駆逐され、イギリスにはロシア本土やバルカンに兵力を投入する余裕が生まれる。東部戦線、最初の本土決戦をイギリスの援軍で退けたスターリンだったが、ナチスの原爆がロシア本国に投下され生産力は低下。そして満を持してのロシア本国再攻撃で遂にスターリンを討ち取った。
posted by 慈覚 at 16:21| コマンドマガジン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Europe at War C

ドイツは原爆開発に続いてV2ロケットの改良に成功し、アメリカ本国への核攻撃が可能に。アメリカも遅ればせながら原爆の開発に成功するが、なんと生産中の原爆がV2の核攻撃によって大量の通常兵器ともども破壊されるという連合側にとっては悪夢のような展開。それでもかき集めた米英部隊をロシア本国へ上陸させてナチスの支配から解放。核兵器の攻撃で生産力が低下し、指導者が葬られながらもロシアは不死鳥のように復活した。一方ドイツは原爆の生産を最優先し断続的にアメリカ本国を核攻撃、ついにアメリカ本国の基本生産力は2まで低下した。通常兵力に勝る連合側はアメリカで反撃用の原爆と空軍を生産しつつイタリア、バルカン、フランス、西方エリアを次々と解放し、パットンの戦車軍団はバルカンから南方エリアに進撃。ロシア本国の安全を確保しつつ、再建中のロシア軍と共同してドイツ本国侵攻をうかがう。アメリカの報復核攻撃が開始されこのままではジリ貧とみた枢軸側は、虎の子のSS軍団を率いたディートリッヒを西方エリアへ向ける。1948年の遅いバルジ大作戦は大成功しSS軍団はフランスエリアまで進撃、同地のイギリス軍はたまらずイギリス本土へ撤退。しかし手薄になったドイツ本国は、次のターンに確実に連合軍の総攻撃を受けそうだ。

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このゲームの最強の将軍はディートリッヒ。装甲ユニットでしかボーナスが得られないタンクエキスパートや総ユニット数が少ない親衛赤軍でしかボーナスが得られないジューコフより使い勝手が良い。このゲームは損害の適用を装甲(または空軍)に割り振るか歩兵に割り振るかを選択できるのだが、歩兵に割り振ると最大4ユニットまで損害が大きくなったり将軍が除去されたりするリスクがあるので装甲から先に損害を適用することになりがちだ。SSなら歩兵でもボーナスが得られるディートリッヒは貴重な存在なのだ。
ここで枢軸側は最後の賭けに出た。チャーチルを討ち取る最後の機会を狙って、フランスまで進出したSS軍団でイギリス本土への上陸作戦を決行。しかしイギリス本土の防衛態勢は万全でSS軍団は英仏海峡の藻屑と消えた。連合軍はドイツ本土を総攻撃、1950年、ついに第二次世界大戦は終結した。しかし北半球の核汚染は長期にわたって人類を脅かすことになったのである。

今回のソロプレイでは、枢軸側のイベントダイスがほぼ最高の結果(アメリカ本土への核攻撃で生産中の原爆が破壊されるなんて状況は何十回プレイして一回あるかないかだろう)であり、一度ロシア本国を占領し核攻撃でソ連とアメリカの生産力を半減させたにもかかわらず、最終的には枢軸側が生産力の差で押し潰されてしまった。
このゲームは、細かいことは気にせず、WW2が長期化したらどうなったんだろうというのを体験するにはいい。なんとなくそれっぽいかんじになります。欠点はあまりにゲーム的な独ソ戦の処理。ロシア本国の早期陥落を防ぐための処置なんだろうけど、エリアをいくつか増やしてモスクワと南方の資源のどっちを取りに行くかみたいなジレンマを簡潔に表現した方が良かったと思う。それからこれも野暮を承知の上の話だが、1ターンは半年としてイベント判定は第8ターン(1945年前半)からとするのが適切だろう。現行の1年1ターンだと第5ターン(1945年)はおそらく独ソ戦の真っ最中でアメリカの戦争マシンはようやく稼働し始めたばかりということになってしまう。
タンクエキスパートのハウスルールに関しては、まずマンシュタインにはタンクエキスパートの特殊能力を持たせるべきだろうという前提で、ドイツにタンクエキスパート3人は多過ぎるので、ロンメルあるいはグーデリアンの特殊能力をタンクエキスパート以外のものに変更することにした。今回のようにロンメルをアフリカエキスパートに変更するか、あるいはグーデリアンが(機甲総監として)総統官邸にいると装甲ユニットの生産コストが半減するというのはどうだろうか。

<ADG>World in Flamesや<DG>Advanced ETOのようなビッグゲームと本作の中間ぐらいのゲームが欲しい。該当するのは<コマンドマガジン第101号>第三帝国の興亡<コマンドベスト第2号>ヒトラー帝国の興亡<ゲームジャーナルNo.13> ドイッチュラントウンターゲルトあたりだが、このスケールでヘクスマップで戦線の動きを表現するのは、いささか無理があるのではないか。ブロックだけど<Columbia>Victory in europeみたいなかんじか。同じくブロックだが、拙僧の考えるWW2の本質により近いコンセプトなのはP500にあるTriumph and Tragedyだ。1935年から始まる、外交や経済を重視したゲームのようです。他陣営より先に原爆の開発に成功してのサドンデス勝利も可能らしい。ドイツが心から勝利と呼べるような状況で1945年を迎えるには、後知恵をフルに活用してそれぐらいのスパンで外交と戦争の手順を組み立て直さないとと難しいのではないかと思う。

posted by 慈覚 at 16:59| コマンドマガジン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする