2015年08月19日

項羽と劉邦 その1

ゲームジャーナル18号付録の項羽と劉邦をソロプレイした。
このゲームは信長包囲戦や本能寺への道より後で発売されたが
実際にデザインされたのは、池田氏のカードドリブン4部作の中では最初らしい。

司馬遼太郎の項羽と劉邦を読んだことのある方なら
秦を滅ぼして覇王となった項羽が
反乱を起こした臨淄(マップ右端)の斉王田栄を討伐に向かった隙に
漢中(マップ左下)で劉邦が蜂起したところから
ゲームが始まると言えばおわかりいただけるだろう。
そう言えば、この第三勢力の田氏の視点から書かれた香乱記という小説もあった。
史記を読むと、春秋と漢書の間の時代に関しては絶対的な情報量が少なく
かなり話を創作しないと小説には仕立てられないことがわかる。
これは後の三国志や晋書の時代も同じで
唐の時代にしっかり編纂された歴史書が残っている南北朝時代までは
歴史記録の質が悪化するのだ。

さてこのゲームでは、将官(人物)ユニットは策略値と軍事値でレーティングされており
それ以外に特殊能力を持つ将官もおり、キャラゲーとしての味付けがなされている。
カードをイベントとしてプレイするには
そのカードの必要策略値以上の策略値を持つ将官が必要だ。
ゲーム開始時に盤上に配置されない将官は各ターンの人材登用フェイズにランダムに登場するが
第1ターンは漢軍プレイヤーが好きな将官を選ぶことができる。
策略値3の張良、軍事値3で策略値2の韓信、受け取るカードが1枚増える蕭何が候補になる。
漢軍と楚軍以外に、外交などで立場を変える独立諸侯と常に中立の王族が登場する。

とりあえず漢軍はオーソドックスに蕭何を選ぶ。
友好度フェイズは双方のダイスが5で張耳が漢軍陣営に。
第1ターンは、両陣営のやるべきことが比較的わかりやすい。
楚軍のそれは田栄を討伐して臨淄を占領することであり
漢軍のそれは咸陽を攻撃し、残りの手番で可能な限り軍団ユニットを補充することである。
両陣営が各ターンに受け取れるカード枚数は
支配するエリアの補給ポイントの合計なので
漢軍は漢中と咸陽の支配で5枚を入手することが出来る。

順調な出だしの漢軍に比べ、楚軍はダイスに恵まれず田栄はこのターンを生き延びた。
ところでターントラックを見ると、このゲームは紀元前206年秋(第1ターン)に始まり
紀元前209年秋(第7ターン)に終るのであるが
これは紀元前203年の間違いだろう。

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posted by 慈覚 at 16:50| 項羽と劉邦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月21日

項羽と劉邦 その2

第2ターン。
登用された人材は虞美人、特殊能力の使用を毎ターン1回とする選択ルールは使用する。
カードは漢軍が7枚(蕭何で+1枚)、楚軍が4枚。
友好度フェイズは、黥布が楚軍陣営に。

おおざっぱに言って、戦闘値4の項羽を有する楚軍は直接漢軍主力の撃破を狙い
漢軍は外交や補充を多用して長期戦に持ち込むといった展開が予想される。

行動フェイズは策略値2の范増を有する楚軍が後攻を選ぶ。
漢軍は外交で黥布を中立に戻す。
臨淄の楚軍はようやく田栄を滅ぼした、虞美人の特殊能力でもう一度行動出来る。
漢軍は主力の樊噲軍を宛に進める。
楚軍は鋸野の彭越軍を先制攻撃、これぞ積極的平和主義。
漢軍は襄国の張耳軍を鉅鹿へ侵攻させる、陳余滅亡。
序盤の漢軍は独立諸侯の活用を考えないと、自力だけでは項羽の猛攻を防げない。

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posted by 慈覚 at 16:30| 項羽と劉邦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月22日

項羽と劉邦 その3

第3ターン。
人材登用は韓信、武漢に配置する。
カードは漢軍8枚、楚軍5枚。
友好度フェイズは、黥布が再び楚軍陣営に。

行動フェーズ、韓信の登場で最高策略値は互角になったので、漢軍が先攻を選ぶ。
漢軍は外交で黥布を中立へ。
楚軍はまず主力の項羽軍を榮陽へ進める。
この軍は虞美人の特殊能力を使って未行動のままにできる。
そこでいきなり武漢を移動攻撃、武漢の漢軍は全滅し、韓信は運悪く戦死した。
このままでは引き下がれない漢軍は宛の樊噲軍で項羽軍を移動攻撃。
さらに漢中の劉邦本隊も武漢へ投入したが、項羽軍はかろうじて踏みとどまった。
残りのカードで漢軍は張耳を臨淄へ進める。

武漢には漢軍8ユニットに対し楚軍2ユニット。
後方にもまとまった予備兵力が無い楚軍は厳しくなった。

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posted by 慈覚 at 23:15| 項羽と劉邦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月23日

項羽と劉邦 その4

第4ターン。
人材登用は竜且、彭へ配置。
カードは楚軍4枚に対し漢軍はなんと9枚。
軍団補充フェイズは両軍とも3ユニットを手に入れる。

楚軍は後攻を選択。
漢軍はまず武漢の項羽を攻撃するが、1ヒットのみで虞美人が彭へ再配置。
ここは項羽に先に討ち取りチェックさせる方が後々良かったかも。
漢軍は継続戦闘を行わず。
楚軍は「太公望の兵法書」でこのターンの漢軍の最高策略値を0に。
漢軍は漢中の3ユニットで武漢の項羽を移動攻撃、しかしヒットなし。
楚軍は竜且を臨淄へ送って張耳を討つ、張耳は鉅鹿へ再配置。
このあと楚軍は榮陽へ軍団を補充し、漢軍は彭越を味方に引き入れる。
楚軍がカードを使い果たした後、漢軍は彭越に軍団を補充しつつ田広を除去。
さらに残りのカードで連続して外交を行い、黥布も味方に。

早々に韓信を討ち取られた漢軍だが
項羽の動きを封じながら、彭越と黥布で楚軍の後方を脅かす態勢をつくった。

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posted by 慈覚 at 20:25| 項羽と劉邦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

項羽と劉邦 その5

第5ターン。

人材登用は夏侯嬰、武漢に配置。
漢軍のカードは8枚、楚軍は5枚。

楚軍は先攻を選択。
まず彭の虞美人と軍団4ユニットを榮陽へ進め、武漢へ突入の構えを見せる。
漢軍は武漢で総力決戦になっては不利なので、その前に項羽を攻撃。
が、項羽は榮陽へ逃げ延びる。
楚軍は次ターンに備え榮陽へ軍団を補充。
漢軍は「名士の仕官」で次ターンの張良登用を予約。
楚軍は鍾離眜を宛に送り占領。
漢軍は彭越軍で臨淄を攻撃、竜且は沛へ逃げる。
楚軍は范増の「反間の計」で黥布を行動済に。
楚軍のカードが尽きた後、漢軍はひたすら自陣営への軍団補充を行いターン終了。

楚軍はようやく項羽が再び暴れられる状況になったが
漢軍は次ターン、カード9枚を手に入れ張良の登場でほとんどの策略が使えるようになる。

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posted by 慈覚 at 21:38| 項羽と劉邦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

項羽と劉邦 その6

第6ターン、待望の張良登場。
カード枚数は漢軍9枚、楚軍4枚。
軍団補充は両軍とも2ユニットを手に入れる。
友好度フェイズ、張耳が中立化。

策略値3の張良が登場した漢軍が先攻を取る。
榮陽に項羽率いる大軍がおり、同程度の兵力では太刀打ちできないので
カードイベントでなんとかするしかない。
まず「宋襄の仁」を使って樊噲にありったけの軍団を付けて榮陽へ送る。
一方的に攻撃できるイベントだが、戦果は今ひとつ。
もちろん楚軍は直ちに反攻。
さらにカードを投入しての継続戦闘で樊噲軍を全滅させ、樊噲も討ち取った。
これで漢軍には軍事値1の将官しかいなくなった。
漢軍は漢中から軍団2ユニットを武漢へ送る。
項羽は残存兵力を率いて漢軍の将官が集まっている武漢を移動攻撃。
ところがここで軍事値1の漢軍が健闘し、楚軍の軍団ユニットは全滅。
漢軍も軍団2ユニットを失い、劉邦が漢中へ逃亡した。
漢軍はここで「間諜」を使って楚軍の最後のカードを捨て札させ、以下漢軍の連続行動となる。
まず「新兵の募集」で漢中に軍団2ユニットを配置。
そして「夜襲」を使用し、武漢の残った将官ユニットで項羽を攻撃、虞美人が死亡。
黥布軍が寿春を移動攻撃して占領。
外交で張耳を再び自陣営へ。
残りのカードは武漢への軍団補充に使ってターン終了。
漢軍の勝ちが見えてきた。

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posted by 慈覚 at 23:54| 項羽と劉邦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月25日

項羽と劉邦 その7

第7ターン。

項羽が武漢で漢軍主力に拘束され、補給エリアの保有数は漢軍6に対し楚軍3で
事実上このターンは消化試合である。

人材登用は陳平が楚軍に登用される。
カードは楚軍3枚に対し漢軍10枚。

漢軍はまず「陳平の出奔」でさっそく陳平を調略する。
楚軍は「太公望の兵法書」で最高戦略値を4へ上げる。
漢軍は項羽を無理攻めせず、「敗残兵の接収」で武漢へ軍団2ユニットを増援。
楚軍は「偽りの停戦」で武漢の漢軍を行動済に。
これで項羽討ち取りによるサドンデスはほぼ無くなったが、漢軍としては想定内。
漢軍は「水攻の計」で沛の軍団1ユニットを除去。
楚軍は「背水の陣」で彭の范増軍が臨淄の彭越軍を移動攻撃。
兵力と戦闘値に劣るも全滅するまで戦い続けるが、敗北し范増は彭へ逃亡。
漢軍は寿春の黥布軍を会稽へ進め占領、残りのカードは補充に使用。

最終的な保有エリア数は漢軍7、楚軍2となり漢軍の勝利。

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楚軍の敗因について。
これは本誌の指針を読んでからプレイすれば良かったのだが
鍾離眜率いる支隊(軍団3ユニット程度)を北方の補給エリアの支配に派遣すべきだった。
漢軍が大兵力を動員する前に勝負をかけるのが有利かと考え
項羽麾下に軍団ユニットを集めて強攻し韓信や樊噲を討ち取ったものの
やはり単純な強攻では息切れの結果となった。

このゲームは良作と言えると思う。
池田氏の4部作はプレイしやすいし
ランダム性もプレイヤーが程よくコントロールできるバランスにうまく調整されている。
シミュレーションとしても、歴史小説などで描かれたこの時代と大きな矛盾は感じさせない。
ただしカードの機能の設定が、GMTのカードドリブンぽいというか
どうでもいいようなイベントが多く含まれていて
信長包囲戦や義経ほど洗練されていない。
特に必要策略値3のカードに関しては
項羽の侵攻をかく乱できるような機能のカードが欲しい。
具体的には相手の移動攻撃に対して戦闘前に退却できるカードとか
信長包囲戦の「兵站の確保」のようなカードである。
posted by 慈覚 at 20:29| 項羽と劉邦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする